To Fish

Method: AMAZING VJ

秘密は千鳥アクション

 例年3月後半にもなると大阪湾に大挙して回遊してくるカタクチイワシ。それにベストマッチしデイゲームシーバスを席巻するルアー”VJ バイブレーションジグヘッド”。なぜ、VJはここまで多くのアングラーから支持され、そして安定して釣果を叩き出すことができるのか?
「カタクチイワシに一番似せようと思ったら”アルカリ”(ジグヘッドリグで使用)になると思います。でも、”アルカリ”では波動が少ないのでその存在に気付かないシーバスもいると思うんです。スレたり低活性時はそれでもいいんですけど。でもやっぱり”VJ”はその名の通りジグヘッドなのにルアーがバイブレーションするんです。ベイトが豊富で活性が高い時はやっぱりアピールは強いほうがいいと思います。なのでやっぱり”VJ”はその波動の有無で存在感を広範囲へ知らせることができるから釣れるんだと思います」
 バイブレーションジグヘッドという新しいカテゴリーがもたらしたもの。それはシーバスが大好きなバイブレーションという動きに、ワームというソフト素材とが合わさって、これまでにない悩ましい波動が生み出され、それがシーバスの食い気を強烈に誘発することが発見されたことで、これまでよりも比較的シーバスという魚に出会えるチャンスが増えたことだ。
 しかし、それらシーバスの好む要素を単にインプットしたプロダクトだけにとどまらないのがVJだ。それは、リトリーブ時に自発的に入る千鳥アクションにある。千鳥アクションとは、その言葉通り、酔っ払いの千鳥足からきている。ルアーがふらつく、バランスを崩すアクション。この千鳥アクションがVJの真骨頂。これが最大の食わせのタイミングとなる。しかも、ただ巻きをするだけで勝手にイレギュラーにそれが入る。つまり、オートマチックに食わせのタイミングをシーバスに与えてくれるため、誰でも簡単にシーバスが釣れてしまうというマジックなのだ。
「千鳥はすごい食わせのタイミングです。シーバスって、僕らが思ってる以上にめっちゃルアーを見てると思うんです。チェイスしてきてても何かが違えば食ってこない。一般的に、等速直線運動が釣れるって言われてるじゃないですか。それも間違いではないんですけど、一定の泳ぎの中で一瞬バランスを崩すタイミングである千鳥が入ることで、食わせのきっかけを作れるんで、より一層反応させることができるんですよね」

 

 

ベイトのサイズに合わせる

 スタンダードな『VJ』のヘッドとワームのセッティングとしては、同梱されているように『VJ-16バイブレーションジグヘッド』には、『アルカリシャッド75㎜(旧CA-02アルカリシャッド)』。『VJ-22』と『VJ-28』には『アルカリシャッド90㎜(旧CA-06デカカリシャッド)』という組み合わせだ。
「でも、僕はベイトやシーバスの状況に合わせて違った組み合わせもよくします。少し深いところにいる小さいカタクチに合わせる場合は22gのヘッドに『アルカリシャッド75㎜』を付けたり、逆に浅いレンジをよりスローに誘いたい場合は16gに『アルカリシャッド90㎜』を合わせたりしています。僕が重要視しているのは、今いるベイトのサイズに合わせること。マッチさせるほど釣れると思っています。でも、『VJ』のサイズ感自体がベイエリアにいるカタクチと大きく外れていないので、例えベイトのサイズがわからなくても釣れますけどね」
 サイズ感的には、そこまでシビアに考えなくてもよさそうだ。では、セレクトで気にすべき点は何か?
「『VJ』のウエイトバリエーションは16g、22g、28gの3タイプ。大阪湾のポイントならほぼ対応できるウエイト展開です。沖堤を含むショアからねらえるポイントの水深は深くても10mほど。シャローからディープまで、これらウエイトだけで十分せめ切ることができる。28gあれば水深10mのボトムをスローにせめることができる。『VJ』は飛距離もメタルジグに負けず劣らず出るんで、それも強みですね」
 大阪湾のようなベイエリアは全国のショアラインに至る所にあるため、『VJ』は場所を選ばずに使えるはず。より、シーバスとの出合いを求めるなら沖堤だろう。
「沖堤防のよさは、潮もより動くんでベイトの寄りもいいし陸っぱりよりも2週間は早いところ。そして、地方よりも圧倒的に魚の数が多い。人も少ないから釣りやすいですね」

 

 

まっすぐ刺し、まっすぐ泳ぐこと

 ジグヘッド×ワームというリグの付き物として“ヘッドにまっすぐ刺す”というベーシックな決まり事がカテゴリー問わずある。こと『VJ』に関してはどうだろうか?
「チドリアクションは勝手に出るんですが、それには条件があります。それは、ワームをジグヘッドにまっすぐキレイに刺すこと。じゃないとチドらないんです。『VJ』の性能を発揮させるためにも、ワームの刺し方は最重要項目となります。まっすぐ泳ぐことでチドリアクションは出る。だから、刺したら必ずスイムチェックをしてから使う。稀にチドらないヘッドやワームがあるんで、僕らも必ずスイムチェックをしてから使います。使っていて何かに当たったり違和感を感じたら、抜いて刺す。その度にスイムチェックする。だから、釣りの最中に何度も抜き差ししてますよ。これが釣るためのキモです。チドるのとチドらないとでは釣果に大きく差が出てしまうんで。やっぱり、『VJ』はチドリアクション命ですから。そして、水中で何かにぶつかったりしても再度、スイムチェックをしてほしい」
 では、泳がせる時に誰もが考えるリトリーブスピードとの関係性は?
「リトリーブスピードはスローでもファストでもチドリは入るんですが、基本的には、デッドスローよりもちょっと速いくらいからスローのスピード領域で巻いた方がシーバスは釣れます。でも、魚の活性や状況に合わせてリトリーブスピードをその都度、試していくべきです。例えば『VJ』はシーバス以外のフィッシュイーター……青物やマダイ、ロックフィッシュ、フラットフィッシュにも効果的です。シーズンやポイントのシチュエーションでターゲットもガラリと変わるんで面白いですよ。なかなか、チドリが入るルアーって他にはないんで、いろんなところで試してみてください」

 

 

当てて外す。裏メソッド

『VJ』をより有効に機能させるためののタックルバランスはあるのだろうか? 
「気を付けているのはロッドですね。ティップが入る柔らかいロッドがいい。特にテクトロみたいに魚との距離が短い釣りだと、硬いロッドはアタリを弾きやすい。柔らかいと吸い込みもいいし弾かない。丸呑みされることもよくあります。『VJ』はフックが小さいってよく言われるんですけど、僕らはシーバスの口の中に掛けたい。フックが大きいと外側に掛かりやすくなって伸びてバラシやすくなる。口の中に掛かると、ルアーも振られにくいし2フックとも掛かってバラしにくくなる。小さいフックはメリットの方が多いんです」
 近年、大阪湾を周年回遊する青物の回避対策のひとつとして壁際をせめるテクトロは非常に有効。そこで、さらに釣果を上げる『VJ』使いの裏技を紹介しよう。
「ストラクチャーやウィードに意図的に当てて外してリアクションバイトを誘発させるメソッドは誰もやってないんで、すごい効きます。波止の壁に生えてるワカメとかフジツボ。バースとかボトムのストラクチャーも。何かにぶつけてリアクションで食わせる。皆さん、ルアーが傷ついたり根掛かりが怖いんでやってない。水平に近い姿勢でスイミングしてるんですけど、まず先にストラクチャーへ当たるのはヘッドなんで根掛かり回避能力が高いんです。だから、釣れる確率はうんと上がると思いますよ。このリアクションの釣りは「ボラリバウンド」(ボラに当ててルアーのバランスを崩させてバイトを誘発させるメソッド)と一緒ですね。注意点はフックにゴミが着くと釣れないこと。やっぱり、シーバスってストラクチャーに隠れてることも多い。だから、効果的なんですよね」

 

 

Angler: Hayate Kogure
Text/Photo/Movie: Kenji Matsumoto